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【記者コラム】纐纈洸翔 S級で光る総合力

 昨年の競輪界は話題が盛りだくさん。松浦悠士が初のグランプリ王者に輝き、真杉匠や山口拳矢といったニューカマーがGⅠ初制覇を飾って今年はS班の赤パンツを身にまとう。特に若い世代の台頭が顕著で、24年もスピード豊富な若獅子たちが躍動する。

 その中で愛知支部の期待の星・纐纈洸翔も目を光らせている。121期の卒記チャンプに輝いたほどの逸材で、今期初S級に昇格した。

 S級デビュー戦となった大垣正月シリーズ。「S級は不安半分、楽しみ半分。練習の感じは変わってないけど、フレームを新しくした。ダッシュは重くなったけど、2コーナーぐらいから伸びていく」と若干緊張した面持ちも、好感触の新フレームを投入して準備万全。いきなり非凡な能力を発揮した。初日は後方に立ち遅れるも、冷静に仕掛けどころを見極めて1コーナーからスパート。一気に前団をとらえて脚力の高さを証明した。「(S級は)流れが早いし、みんなすぐ来ますね。それでも落ち着いてレースはできたし、周りはちゃんと見えていた。(S級初勝利)少しホッとしましたね。上に上がってつまずいている人もいるので、いいスタートが切れました」とS級初星に安ど。戦うステージが上がっても堂々たる走りで、今後の可能性を大いに感じさせた。

 続く準決では先行した根田空史の番手を奪う奇策に出ると、ゴール前で根田をとらえて白星を挙げた。鋭いタテ脚に加えて、柔軟なヨコの動きも見せた。いかなる状況でも対応できる高い総合力は、トップ戦線では大きな武器になる。決勝では皿屋豊を背に、果敢に先行。道中で力尽きたが、A級時代に磨いた航続距離の長さは健在で奮闘ぶりが光った。3日間、いずれも異なるレース内容ながら、どの状況下でも持ち味をフルに発揮していた。S級戦好スタートを切った21歳が、24年はトップ戦線でタテヨコの動きを駆使してアピールしていく。

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